うさペンの館

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ガッチャマン クラウズインサイト1、2話    ー市民がヒーローをどう助けるかを問い続けるー

ガッチャマン クラウズインサイト1、2話

ー市民がヒーローをどう助けるかを問い続けるー

 

 

翼は新潟県長岡市に暮らす、普通の高校生。

そんな彼女の元に、宇宙船が墜落。その船に乗り込んでいた『ゲルサドラ』と、調査のために来たガッチャマンである『はじめ』が来たことにより日常が、非日常に変わっていく。

そして報道陣の無配慮さに怒り、翼はガッチャマンに変身してしまうのが、一話。

 

二話では、翼はガッチャマンに変身をすることができず、消火器で赤いクラウズを撃退している。

 

“報道陣の無配慮さに怒り変身”、“消火器で赤いクラウズを撃退”

ヒーローが変身してしまう展開にしてはまったく熱くはないし、

敵を目の前にしているのに変身ができない。

ちょっとかっこ悪いし、爽快感みたいなものを翼ちゃんには感じられない。

ならなぜ翼にこのようなことをやらせたのか。

それは彼女をまだ“市民”としてみせていきたい意図があるからだ。

橘やはじめちゃんで描けなかった、新人ヒーローゆえ未熟さだけではないのだ。

 

では市民とヒーローの違いを追っていこう。

ヒーローであるガッチャマンは『ミリオネ屋』を通じて、報道陣と上手く付き合っている。一期のような古い慣習にしばられたヒーローでなく、市民の中に深く根ざしたヒーローゆえの行動だ。

だが“市民”である翼は、報道陣に怒るという市民だからこその行動を起こしている。

それにより“市民”と“ヒーロー”という対比が生まれている。

 

翼が“ 消火器で赤いクラウズを撃退”したのは、ヒーロになれない“市民”としてなんとか守れるものがないかと模索しての行動だ。

さらにここできわめつけなのは、このとき守るためとはいえ、お年寄りに“怪我”をさせてしまっている。

これにより“市民”が力を持つことに対する小さいながら暗喩になっている。

 

 

ゲルサドラという宇宙人についても触れておこう。

今の所彼女は、吹き出しのようなものを表示して、心の可視化をしてそれを取り込むことで情報収集を行なっている。

初めてきた惑星の調査としての情報収集、ファースト・コンタクトものとして王道をいっているのは間違いない。

だが彼女?の特徴は、争いのない“平和”を強く望み来訪した星において争いを止めようと介入する点があげられるだろう。

それはつまりは争いにならない方法を彼等自身が持っているということにほかならないと思えるのだ。

今はまだ、二話で赤いクラウズにつかみかかっているだけだが、今後もしこれが強行策にでたらどうなるか。彼女の行動原理は覚えておいたほうがいいだろう。

心の可視化で安心する。それは今のネット社会。つながりの依存であるという捉え方もでき、同調圧力がさらに強まった“未来の市民”という捉え方もできなくもない。

 

 

では次に二話に登場した『VAPE』赤いクラウズを扱う組織についても触れておく。

彼等の組織は、青いクラウズという力を無秩序に“市民”に与えている現状を正しいとは思っていないゆえの行動だ。

もちろんその訴えかけとして赤いクラウズをけしかけている、危険な組織で歪みはある。だがこの訴えかけは“悪”ではない。

わたしたちの世界で考えるなら、自衛隊以外の自衛するための力。

そのために市民に銃を、いやそれ以上のものを無償でゲーム感覚で提供している。

それを思うと怖いと思うのは極めて妥当だ。

作劇としてこれから青いクラウズは市民に対し“害”を与えるものとして扱っていく場面がでてくるだろう。そうなったときどうなるのか、気になる所である。

 

 

『世界をアップデートさせるのはヒーローじゃない、僕らだ』

ガッチャマン第一期では、孤立するヒーローとネットだけの関係の危うさを指摘しながら、市民にも助けてもらいながら社会を築いていく、ヒーローの未来の可能性を指し示した。

そしてそれを引き継いだ第二期での翼の使命は、“市民であり続けるガッチャマン”にこそ意味があるのだと思う。だから彼女は特別ではないのだ。

そうすることで“市民がヒーロー”をどう助けるか”を問い続けることになるだろう。

市民がヒーローになるのは、理想論だと第一期では橘先輩がこたえている。

だからこそ、ヒーローを助ける社会のありかたを描こうとしている。

さて今作がどんな回答をみせてくれるのか非常にきになり、また楽しみである。