orange 6話 「LETTER06」 感想+つながる二人と後悔の感情を伝える洗練された演出とカメラワークついて読み解く
orange 6話 「LETTER06」 感想+つながる二人と後悔の感情を伝える洗練された演出とカメラワークついて読み解く
未来の手紙を授かった少女の恋物語。
忘れられない花火の思い出をということで、まずは友人達がまたまた活躍。
嫌みたっぷりのまだまだ翔を諦めていない悪女上田先輩により雑用を押し付けられるが、
たかこちゃん達がかわりにやってくれることで、遅れながらも間に合う。
プールへの侵入をはぎた君が機転をきかせていたりもしていましたね。
前回協力すると言ってくれた友達が行動を持ってして支えてくれる。
なにをしてくれたんだろう。そうおもい返したときにぱっと思い浮かぶエピソードを作れたんじゃないかと。
また間に合うんだろうかというハラハラが物語に刺激を与えてくれました。
さてここで花火の場面にうつる前に、恋心のおさらい。
アバン、3人のうち誰かを選ぶという遠回しな聞き方をします。
これは花火の時の翔だったり菜穂につながってくわけですが、
この時写っていたプールのボールから彼と彼女が浮わついていることがわかります。
プールサイド、未来からボールをみつめる菜穂
過去に沈んでいる翔
彼と彼女はまだ高校生であることは何度も描写されています。それは話数がたった後でも変わらないことを伝えてくれる。物語が深刻になっていくにつれてそういう置き去りにされがちなものを映像としてしっかり残してくれるとぐっときますね。
また翔においては過去の後悔をひきずり、好きになってもいいのかなぁと思ってしまう。
そこは今回須和君のフォローによってなんとかプールサイドにいくわけですが、まだまだこれからもひきずりそうな問題だなぁ。
そんなやりとりと、悪女上田先輩の策謀を乗り越えたすえに、手に入れた花火でのいちゃいちゃは、その花火のように一瞬ですがキラキラ輝いておりました。ドキドキできるっていいね。
手をつなぐという更なる進歩と翔とのつながり。ええ青春や。
とまぁそんな形で終わるのですが、今回lの話はそれだけで終わりではない。
自殺した翔という真相を知り、次のステップへ。
未来の菜穂たちの翔の手紙というショッキングな事実をもう一度肌に感じさせてからは、現代の菜穂ちゃんが祭りにて、菜穂が踏み込む翔の後悔が語られる。
この際、非常に丁寧な演出とコンテがされており感情の色が読み取れることができる。
「お母さんについて話せることない? 思っていることとか、悩んでいることとか」
「なんにもないよ、なんにも」
菜穂のかっとの時だけは翔が写っており。
しかも斜めのカッティングで翔の表情はみえない。まだなにも話してくれないこと、不安定な気持ちを表現。
対してかけるには菜穂の姿はみえてはいない。断絶と拒絶していることを台詞とともに伝えている。
「じゃあ翔の後悔ってお母さんを救えなかったこと?」
そこからさらに菜穂ちゃんは踏み込む。なんども自分自身をかえてふみだせるようになったから。
翔の覆い隠した気持ちは木々の枝で。
菜穂の確信に迫る気持ちは、ミディアムクローズアップショット(人物の腰から上)からクローズアップショット(肩から上)のショットに切り替えることでより印象を強くしていた。
そして確信に触れられた悟は涙する。
パンアップ(上方向にカメラを振り、見上げるように上方向へ視点を変えること)により見えてこなかった本当の気持ちが明るみに。
翔の表情をその前のカットでかくしてていた。
さらにここのカットが関係の断絶ではないことをつたえるためのパンアップでもあるね。
「後悔はいろいろあるけど、一番は修行式の日。母さんの体調が良くなくて、新しい病院にいこうって約束してたんだ。
でも一緒に帰ろうっていってくれたことが嬉しくて。母さんにはいけなくなったってメールした」
翔の表情は蛍光灯のフィルライトの光により、くっきりと別れる。
菜穂によって光が照らされたが、まだ隠しておきたい暗い一面があるから。
それはさきほど菜穂が確信に迫ったときよりも木々よりもさらに多いかぶさり星をみえなくしようとしていることからも解るようになっている。
「でもメールは返ってこなかった。母さん精神的に不安定になっていて、俺がいないとなにもできなくて、俺がちゃんと支えないといけないて解ってたのに」
回想シーンでつないだ後からはロングショット。
遠すぎない過去である母さんとの距離でもあり、なにもその過去を背負ってあげられない菜穂の気持ちでもある。
「あんなに簡単に自殺するなんて思わなかった。ひどいことした」
この時、悟の視界には菜穂はみえてはいない。
母さんとのことを思い出しているので。
その確信に、菜穂はなにもいってあげられない。
その衝撃をつたえるための、クローズアップショット。
「だからさっきお参りするとき神様に、母さんにごめんねって伝えてって言った」
「後悔してる」
超クローズアップショットで口もとと、あふれる涙を映す。
なにをもってその言葉を言ったのか。まずはそこを印象に残してから、翔の変化である涙を映す。
翔が後悔を“言う”場面であり。そこと大切にしている。
そこから再びパンアップで二人をつなぐ。
さきほどと違うのは正面からうつしているということ。
これはさらに二人が結びついたという証拠。さきほどの菜穂から翔への橋渡しではない。
後悔という言葉を正面で受け止めようとする二人。
それをじっくりと印象に残すため、正面からのパンアップにしたのかなぁと。
「大丈夫だよ、お母さんも解ってくれるよ」
(なにが大丈夫なんだろう)
さきほど受けた翔の後悔をほぐしてあげられない菜穂。
超クローズアップショットで涙を印象づけることで、それをさらに引き立てていた。なにも言えないはがゆさというのもこの涙にはこめられている。
「ちょっと一人になってもいいいかな」
「うん」
「なにもできなかった。なにをいってあげたらいいか解らなかった」
後悔を受け入れられない翔は一人に。菜穂もくやむ。
木で弾雑された菜穂と翔。あれほど確信に迫ったときは近づいていた時の対比になるよう正面カットを選択。
パンダウンにて、下がる落ちていくということでさらに遠くなったことを印象づかせる。
そして菜穂にだけ友人が来て、翔の孤独が強調された。
以上がこの時のやりとりである。
翔の後悔というこの物語の重要なキーであることを踏まえ、言葉言葉にあわせて迫ったり、遠ざかったりする。
どのカットの意味があり、無駄がない。非常に洗練されいた。
場面はかわり、翔が自殺したときに絡めた自転車で緊張感を保たせる。
これは須和君のではあるが、翔であるとも連想できるように演出されていた。
そして最後、須和君が手紙のことを話すという、きになる引きで、ぐっと盛りあげてくれました。
須和君まで持っていたのかということで、次回楽しみです。